藤下さんの「自転車生活」VOL.454

■  カンパニョーロのメカニカルの12段が発表されました!

「もう12段の時代ですよ」と、イタリアのカンパニョーロさんは言いました。
メカニカルの12段が発表されました。
なんと予想に反してシフトケーブル操るメカニカルは130mmのリヤエンド幅に対応していました。
限られたリヤエンド幅には、すでに11段スプロケットが収まっていたわけですから
このスペースに約3mmから4mm近く必要な1段分を増やすのは相当の荒技です。
またスプロケットが薄くなったり、チェーンがスーパーナロー化することになるのは必至です。

でも従来の130mmリヤエンド幅のカーボンフレームやアルミフレーム、スチールフレームに乗せ換えできるし
ホイールもフリーボディの交換があるかも知れませんが使えるはずなので
12段化コンポーネントもカンパニョーロに付いて行こうと、ホッとしているカンパニョーロファンもいるかも知れません。
と言うことは、メカニカルのコンポーネントのブレーキは、リムをはさむタイプのキャリパーという組み合わせになるのでしょう。
トッププロが今更メカニカルの変速システムを使うとは思えませんが
ダイレクトマウントのブレーキキャリパーの信頼性は高いので、これはこれで対応するフレームが生き残るのかも。

ホイールは今までの11段対応のものを使えるのでしょう。
アルミ合金製のフリーボディも、もうこれ以上に外側へ延長できる余地がないのでは、できるのかな?
とすればスペースを稼ぐには、スプロケットの肉厚を薄くすること、間に入れるスペーサーも薄くして
対応するナローチェーンも11段以上に幅が狭くスーパーナローチェーンになるということでしょう。
 130mm幅で12段が実現して、油圧ディスクブレーキ対応の142mm幅のリヤエンドも12段ともなると
ディスクローターに対応するホイールも12段となり。
斜めがけの時のチェーンラインはもともと厳しいのですが
 142mm幅ならスペース的に、将来は13段化や14段化が可能ってことでしょう。

12段のスーパーナロー化ともなると、フロント変速機のチェーンケージも
リヤ変速機のプーリーケージもプーリーも狭く薄くなることになります。
フロントチェーンホイールもアウターギヤとインナーギヤの歯先間隔を狭くして
歯先もナローチェーンのタイト化に合わせて11段用より薄く設計変更されているはずです。
そこで10段が11段になった時のことを思い出すと
スプロケットの厚さは1枚で0.1mm薄くなり、12枚で1.2mm薄くなり、スペーサーは11枚で1.1mm薄くなります。
合わせても2.3mmですから後はどこでスペースを稼ぐのかな。
チェーンの横方向の耐久性、スーパーナローのチェーンや薄くなるスプロケットやチェーンリングの耐久性もどのくらい低下するのか気になります。

メーカーは11段化の時もそうだったけど、ドライブトレインの耐久力は増しているとインフォメーションしていました。
でも、実際に使ってみると、チェーンの縦方向の消耗具合による伸びも少し気になったけど
それは洗浄と注油をしていれば思ったほどではなく、10段ではインデックス変速の性能の低下は5,000kmくらいからだったけど
11段では3,000kmから4,000kmで低下をはっきり感じて
チェーンのプレートやリンクピンやリンクの素材のグレードアップや、金属パーツの熱処理や表面処理だけでは
接触面積の変化をカバーできていないと思いました。

インデックス変速の性能に影響の大きい、チェーンの消耗による横方向への、チェーンのしなりが大きくなるのが早くなりました。
チェーンも11段より0.1mm狭くなったとして、12段ではチェーンの耐久性がどうなるのか。
10段から11段になったのはすんなり移行できているように見えて、わずか0、1mmの差ですが
スプロケット、スペーサー、チェーンのナロー化による変化は、インデックス変速の性能を確保するのには
技術的には単純ではなく、かなり苦労しているはずです。
12段化もそういうプロセスがあるはずです。

しかも、シフトケーブルの内蔵化が当たり前になっているので
それも配慮されているはずで、シフトケーブルで操るメカニカルの12段化は、変速レバーの操作の軽さと
リターンスプリングの力が頼りの変速レスポンスを追求するとなると、フリクションとの戦いになるので
それなりに大変だと思います。
各メカニズムの細かい見直しも行われているはずです。
チェーンの流れに合わせる、センタロンプーリーのような横方向にガタのある構造は11段化の時にすでに見直されています。

スーパーナロー化で、フロント変速機のチェーンケージでチェーンに横方向にかける力
内外へのストローク量も微妙になるし、リヤ変速機のプーリーのチェーンの誘導も微妙になります。
歯数が大きくなり、歯先の高い新型のプーリーは、チェーンのプーリーの歯先への接触面積が大きくなり
チェーンを誘導する影響力を大きくする効果がある、大きいプーリーが採用されています。
フリーのローギヤのワイド化に対応して、チェーンテンションのキャパシティも大きくなり
チェーンのドライブの抵抗も小さくできます。

しかし、メカニカルの130mmエンド対応の12段仕様のリムブレーキ仕様とは
142mmリヤエンド幅のフラットマウントのディスクブレーキ仕様と2本だてのコンポーネントやホイールになると言うことでしょう。
電子制御のEPS も油圧ディスクブレーキ仕様と、EPSにリムのキャリパーブレーキで12段化される可能性がるので
スーパーレコードとレコードだけでもコンポーネントの構成が複雑になりますね。
ホイールもディスクブレーキの登場と共に見直しが行われて、新製品がラインナップされています。
しかし、カンパニョーロのハイエンドモデルへの注力のプライドとかは分かりますね。

カンパニョーロも世界市場で稼がなければいけないはずで
ボリュームゾーンの、11段のリーズナブルコンポーネントの開発は今のラインナップで大丈夫なのかな。
ソラ、ティアグラ、新型105がライバルになる、完成車メーカーの10万円前後の入門ロードモデルから
20万円前後の中級ロードモデルまでにカンパニョーロのコンポーネントがインストールされていない現実は
バイシクルビジネスとしては厳しいのじゃないかな。

発表会に行く度に、製品の価格表だけが手渡さされて、製品があっても写真撮影禁止、録音も禁止で
カタログの写真データが提供されたりします。
ショップのスタッフも記憶力勝負の発表会もあります。
セミナー開催の情報をキャッチしてやってきたプレス関係者も
セミナーへ何しに来ているんだろうってことを感じているのでは。
予備や補修パーツの供給ステーションの役割はあっても、カンパニョーロの製品を知ってもらって
買ってもらおうという広報活動にも積極的な姿勢を見せて欲しいな〜。
例えば毎週アップデートされる、スモールパーツの在庫状況のリストアップとか
イタリア本国から取り寄せられる場合の到着期間とか、あるといいのに。

ユーザー向けの店頭用のカタログの配布だけでなく
ショップにしてもカンパニョーロの情報が欲しければホームページのディーラーズ整備マニュアルにアクセスして
手元にマニュアルを置いて、見ながら整備作業をできるようなペーパーが欲しければ
自分でプリントアウトしてというスタンスです。
ある意味、店頭でカンパニョーロ製品のセールスマンになる
ショップスタッフへの積極的な情報提供などにも注力してほしいな。プロショップでもカンパニョーロのコンポーネントの展示は少なくなっています。
このままではホイール以外のカンパニョーロ製品の存在感が店頭で稀薄になってしまいます。
カンパニョーロファンのひとりとしてとても残念です。
ではでは。

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