ホイールビルドのカガク5回目です。
今回はゾンダディスクブレーキ仕様(ZONDA DB)に学ぶというお話です。
↑ゾンダDBのフロントハブです。
リムブレーキのハブの場合は、左右対称でしたが、ディスクブレーキの場合は左右非対称のハブになります。
ディスクローターを取り付けねばならないので、左側のスポークがホイールの中心に寄らないといけません。
では説明をはじめます。
対称のリムブレーキホイールと、ディスクブレーキのホイールの差をあらわす図をかきます。
リムブレーキのスポークパターンが…
ディスクローターの出現(?)で、左スポークがホイールセンターに寄ります。
ここで「左右それぞれのスポークとホイールのセンターで描かれる赤と青の三角形」を書き足すと
左の青の三角形が右に比べてガッつり小さく小さくなりました。
リムブレーキならば対称ですから、これはエライ差です。
前回からの繰り返しになりますが、青の三角形が小さくなったので このホイールは右によれやすくなっています。
青の三角形が小さくなったことで横剛性が失われたということです。
バランスが悪くなった。ということもできます。
前輪で右側と左側の横剛性が大きく違うホイールは、コーナリングに相当な影響がありそうです。
左右の横剛性が(若干)違うホイールは昔こんなの(↓)を実験で組みましたが…
やっぱり普段使いするメリットは何もありません。
では、失われた横剛性を取り戻すにはどうするのか?ですが、青の三角形の面積を増やすということになります。
バランスをよくするということですね。正確にはなるべく元に近い状態にに戻すということですが
方法は2つあります。
ひとつめ G3化
左右異数のスポーク数にラージフランジを合わせます。
この場合は左14本、右7本というG3を想定したスポーク数です。
(16/12/04 図を書き直しました)
青の三角形を増やすべく左側のスポーク数を右側の倍にします。
そうすれば青の三角形の面積は倍になりますね。
青の三角形と赤の三角形の面積差が縮まればよいわけです。
ふたつめ オフセットリム
ゾンダ ディスクブレーキ のリムのバルブホールです。
穴の断面が左右非対称になっている オフセットリムです。
図にすると↓こうです。
(16/12/04 図を書き直しました)
ホイールセンターからリムセンターを右側へずらすことができるので、青の三角形の面積は増え、赤の三角形は減ります。
このような ふたつの方法を使って青の三角形と赤の三角形の面積差を縮め、ローターによって失われた横剛性のバランスをとっているのです。
こういったホイールは、ハブやリムを専用品で設計しているので、高次元の性能を手に入れることができます。
本当に、こういったホイールを設計する方々は頭がキレますね!恐れ入ります。
ZONDA DB に学ぶ のお話でした。
みやかわ