ホイールビルドのカガク4回目です。
3回目が長くなってしまったので今回は短くします。
ハイ・ローフランジのハブを使うとBA右(右ブレースアングル)がわずかに大きくすることができる。
3回目でこのような話をしましたが、その2つの利点について説明します。
BA右が大きい利点1つめ
ホイールの右側の横剛性があがり、リムが左方向へよれにくくなる。
説明します。
私がホイールを見ているときに頭の中ではこのような図が描かれています。
(↑ちょっとヤバいヤツですね…)
左右それぞれのスポークとホイールのセンターで描かれる赤と青の三角形です。
説明しやすくするために、赤の三角形をハブのセンターまで延長します。
こうしてできた 赤と青の三角形がホイールの横剛性の目安になります。
この三角形が大きく描けるほど、横剛性は高いということです。
この三角形に大きな影響を与えるのがフランジの寸法です。
ハブの右側はフリーボディがいるのでフランジを右へ延ばすのは無理なので縦に伸びてもらうとして(ハイフランジ化)、左側へはかなり広げる余裕があります。(ワイドフランジ化)
とにかく可能な限り、右上&左へ三角形が大きくなるようにハイ・ローフランジハブになっていれば、ビルダーは比較的まともなホイールが組めます。
BA右が大きい利点2つめ
ハイフランジなら、ラジアルほどではないものの横剛性を稼ぎつつ、駆動剛性も稼げる。
前回も書きましたが、ラジアル組は横剛性最強、タンジェント組(ハブの中心〜スポークホール〜リムの角度がおよそ90°の場合)は、駆動剛性最強です。
↑トイレットペーパーです。
クレーンの滑車とかでも一緒なのですが、丸いものに紙なりワイヤーなりが垂れ下がっていれば説明に使えるので良いのです。
トレペの場合、紙が重力に引かれてまっすぐ下に垂れます。ここで止まるということは、ここでバランスがとれるということです。
トレペの芯〜外側の紙の垂れ下がり始め点〜垂れた紙の角度が90°です。
滑車とワイヤーで同じように置き換えても、やはり90°になりますね。
ハブフランジとスポークに置き換えても、90°が駆動力が最も高くなります。80°でも100°でもなく90°です。
ただし現実的には90°ピッタリにするためには、リムの内径に合わせてフランジに穴あけしないといけないので、90°に近くなるところを選択すればよい。ということになります。
32H・28H・24Hなら3クロスですね。
今、上の図ではわざと2クロスのスポークホールを選んでいます。横剛性を大事にしたいので。
(じつは別の理由もありますが、それは極秘とします)
これ↑は、↓こういうハブを見て、それを模倣した結果です。
WH-7801-SLのリアハブ
ベンドスポークだと右側ラジアルは問題があるので、2クロスにして模倣しています。
紙とペンで三角形をかいてみて下さい。
このハブ、三角形がかなりデカいですよ。
…結局長くなってしまいました。
今回もお付き合いありがとうございます。
みやかわ