藤下さんの「自転車生活」VOL.458

■やっぱりスカイはスポンサー撤退ですね!

 

イギリスのテレビコンテンツの配信会社のスカイは、前々から買収が噂されていましたが、ついにフォックスの傘下に入りました。
プロロードレースの世界で、特にアピール度の高いツールドフランスにはチーム力をフォーカスして、個人総合優勝をチームメンバーが継続していました。もちろん2018年もです。
50チーム以上あるプロチームの中で、スカイはここ10年くらいトップチームに君臨していました。
だから、スポンサー撤退はとても残念なニュースでしたが、買収が噂されていたフォックスもディズニーも、いずれにしても買収資金を出資するファンドがアメリカの巨大メディアグループです。

 

アメリカはセブンイレブン、モトローラ、USポスタルなどがベルギーに拠点を置いていたプロサイクリングチームをスポンサードしましたが、いずれも現在は撤退しています。
プロチームはスポンサーが変わっても、チームの運営母体が残っていて、ジャージや機材が変わり、契約選手も主力選手が残ったり、他チームへ移籍して入れ替わるということで、運営母体、監督、コーチ、メカニック、マッサージャーなど、実体は生き残ってレース活動を継続するパターンがよくあります。
スポンサー契約も打ち切りの可能性に備えて水面下で2年も3年も前から運営母体や広告代理店が獲得に動いています。

 

アメリカの巨大メディアが投資するところが気になっていました。
プロロードレースの広告媒体としてアメリカ企業の評価が低いことが予想され、いずれのファンドが買収しても、10年続いたけどスポンサー継続は難しいなと思っていました。
フォックスが傘下に収めたスカイの場合は、プロロードチームの運営会社と、広告代理店が運営をサポートする形式でしたから、相当前からスポンサー契約の打ち切りは通知されていたはずです。
次のスポンサー契約も決まっている可能性があります。

 

プロロードチームのスカイの運営費と言われる50億円は、ヨーロッパのチームとしては巨額と言えるでしょう。
フランスのトップアマチームはスポンサーを獲得して、年間運営費が2億円くらいです。プロチームでも弱小チームは2億円ぐらい、スポンサーも企業規模が小さいところが多く、10億円以下のチームもたくさん存在します。

このチームの運営費の小ささから、ヨーロッパのロードレースが衰退していると言われたり、選手もスタッフも報酬が労働に見合わないプロスポーツになっています。
年俸の未払いもいまだに横行しています。

華やかなのは先進的な運営を行うツールドフランスばかりで、メディアへの露出、広告価値は道をひたすら選手が走り、生放送するという旧態然としたレースの運営で、スポーツコンテンツとしての魅力は低下しています。

 

日本で開催されているツアーオブジャパン、ツール・ド・北海道、ジャパンカップ、さいたまクリテリウムも、全日本選手権ロードも、誰のために、何のために開催しているのか、そろそろ明確に考えていい方向へリードしていかないと、
ヨーロッパでプロロードレースしているのを見て、補助金や自治体のお金を頼りにして、日本のチームも開催団体もマネージメント能力を高めたり、広告代理店の力を借りて改革しないと、プロの真似事している場合じゃないと思うけどな。
走れるプロ選手の育成、プロチームの運営母体と日本でもヨーロッパでもアピールが必要なスポンサーの確立、しっかり採算ベースに乗せて、プロロード選手とチームとロードレースの価値を高めないと、日本のロードレースそのものが衰退してしまいます。

 

プロロードチームの運営母体の実態は実業団チームの延長線上にあって、ヨーロッパやアジアのリーグへ打って出ようというところは少なく、ドメスティックな活動に止まり、プロサイクリングチームのシステムになっていません。
ヨーロッパのプロサイクリングチームは、マネージメントスタッフやヘッドスタッフが、元選手で監督ライセンスを持つことが多いのです。
プロチームの運営によりスポンサーを獲得して、一攫千金を目論むジェネラルマネージャーが多いのです。
最低契約金の保証制度も形ばかりで、不透明な資金運用のチームや、給与の未払い、契約の不履行が今だに横行しています。

 

しっかりしているのはチームランキング上位の20チームぐらい、ランキング下位のチームの中には、シーズン途中で資金切れで解散とか、上位チームでもトラブルを起こしている場合があります。
チームバス、機材トラック、サポートカーなどが確保され、副監督、キッチンスタッフ、トレーナー、メカニックなどまともにペイされているチームはなんチームあるかな。
日本人スタッフがプロチームに関わってもヨーロッパで活動を継続できないのは、まともな報酬が支払われないからです。

 

チーム運営資金の大きさでも、日本のGTカー500クラスにフル参戦するワークスチームや、メーカーのサポートするファクトリーチームの年間予算は、車の開発、エンジン開発、メンテナンス、サーキット使用料、ペイドライバー、スタッフの給与、運搬などで、80億円から100億円で走らせています。
車のドメスティックなレースでもそれくらいの規模で投資されています。
これが、インディカー、F1、Eカー、ラリーのシリーズ戦へのフル参戦、耐久のワールドシリーズのワークスチームになると、活動拠点はアメリカやヨーロッパになり、その2倍も10倍も投資することになります。

 

そうなると、Eカーなどは車の開発に関わるとは思いますが、化石燃料を使うエンジン車に未来はあるのかな。宣伝広告費としても、さすがに本業を圧迫するようになり、撤退という選択肢が実施されたりします。
ブリヂストンタイヤがF1へのタイヤ供給から撤退して、その膨大な資金を2020年の東京オリンピックのスポンサー契約に投入しました。
でも、グループ企業のはずのブリヂストンサイクルのロードレースチームの運営資金は減額されてヨーロッパ遠征は縮小されています。

 

2020年のピスト競技でメダルの可能性がある状況で、ルックのカーボンピストに対抗する、カーボンピストバイクを開発して供給するプランが実施されましたが、外国人コーチたちの評価は今一つで、今のフレームで勝てているのだから、換える必要があるのか?というコメントがあったとか。

カーレースの世界の投資資金と比較すると、ロードレースのチーム運営資金は小さな規模です。
それでも北米に限らず、世界的な宣伝広告効果の評価が低下しているので、ワールドワイドなスポンサーの獲得が難しくなっています。

スカイのチーム運営会社が2020年からのスポンサーをフィックスしていることを祈ります。せっかくのメンバーがチーム解散でバラバラになるのは見たくないですね。
ではでは。

 

 

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